なかなか治らない潰瘍。気づいたら半年、1年と経過していた!なんてことありませんか?患者さんにとっては一大事です。この記事では難治性潰瘍について、アセスメントやケアのポイントをまとめています。ぜひ、最後までお読みいただき日々のケアに活かしていただけたら嬉しいです。
難治性潰瘍の要因を探ろう
難治性潰瘍って何?
傷は本来、外力により発生し自然に治るものです。
しかし足にできる傷は、時に明確な誘因がわからなかったり、いつまで経っても治らなかったり、どんどん悪化することがあります。このような傷を『難治性皮膚潰瘍』と呼んでいます。
どうして難治性潰瘍ができるの?
難治性潰瘍は様々な要因があります。
1)血統コントロールの悪い糖尿病
2)むくみ
3)血流不全
4)持続的な刺激
5)感染症
6)異物の埋入
7)低栄養
8)その他
要因がはっきりすることで、その方にあった支援を組み立て計画することができます。複合的要素のことが多いです。
難治性潰瘍には種類がある
虚血性(動脈性)潰瘍・静脈うっ滞性潰瘍(静脈瘤による潰瘍)・糖尿病性潰瘍・膠原病に伴う潰瘍・放射線潰瘍・皮膚がん、など原因によって分類されています。
根拠
潰瘍を治すには医師の診察や処方だけでなく、本人の自宅でのケアが成果を左右します。
①食事、②運動、③傷の手入れは潰瘍の種類に関わらず重要です。
①食事は、傷を治す基礎!
ー低栄養状態:皮膚が傷ができやすく、むくみ易く、感染も起こしやすい状態です。食べ過ぎを酒、栄養状態を改善する方法を考えます。経済面も考慮してその方にあった自炊・中食・宅配を一緒に考え定数することも大切になります。
ー高血糖状態:糖尿病に罹患していると血糖コントロールが重要です。血行障害の他、末梢神経障害・易感染性などが問題となります。後日、詳しく解説しますね。
ー食べ過ぎ:肥満も静脈の働きを悪くします。少なくても肥満が悪化しないように!
②運動は食事とともに大切です。
ー長時間同じ姿勢で過ごすことは、血流が低下し血栓もできやすいです。
ー潰瘍形成されている足も負荷をかけないように装具を使用したり免荷したり、運動内容を配慮して動かします。傷があるからといって、ひたすら安静にしておくと、筋力は低下し、むくみ、血流も低下しますので良いことはありません。
ー癖:持続的な刺激によって潰瘍が形成される要因になります。普段の姿勢や癖、趣味や仕事で身につけるものが関係して刺激になっていることふぁあるので確認します。
ー立ちっぱなし:適度な運動は必要ですが、立ちっぱなしは避けるようにしましょう。
③傷の手入れは、本人や家族、訪問看護師等による実施が多いでしょうか。
ー洗い方
ー薬剤の塗り方
ー頻度
医療者は毎日のことなので、詳しく説明をしてもらえないことが少なくありません。一般の方にただ「綺麗に洗って」と言っても、傷自体に抵抗感があって「見たくない」「触りたくない」「怖い」方も少なくありません。同じ薬、処置をしていても全く改善の兆候が見られない場合、医師の見解を伺うこともよいでしょう。
④評価します。
難治性潰瘍はADLだけでなく、QOLをも低下します。時に医師、理学療法士、義肢装具士、薬剤師、栄養士、看護師などカンファレンスを要するかもしれません。
写真を撮らせてもらい客観的に評価をしましょう。
改善はご本人の意欲を高めますので、プラスのフィードバックとして活かすことができます。改善していない、もしくは悪化している時は改善しない要因をご本人とともに丁寧に振り返りましょう。
相談を受けた事例
地域で携わっている保健師さんのご相談です。
60代前半の男性A氏。およそ1年前から右足内顆に潰瘍形成。この1年で内科・循環器・形成・皮膚科・受診していて、糖尿病疑い・腎性浮腫・重度の白癬症・うっ血性心不全・心臓弁膜症疑い・左内顆皮膚潰瘍の診断を受けています。妻は先立ち、子供は独立して独居。潰瘍の痛みがあり、ほぼ自宅で過ごしておられるそうです。
現在は、形成外科でゲンタシンを処方されていて毎日セルフケアされているとのことでした。
A)医師が診ているのだし、このままでいいと思う。
B)1年も経つのに治らないので、どうするといいのか処置や諸々を見直す
ご相談の保健師さんはBでした。
そして、ちーさんからは①食事&栄養の見直し、宅配など利用も含めてむくみ軽減を図れるように1日1食でもバランスよく摂取、②運動(潰瘍に負荷とならないもの)血流アップと筋力保持、むくみ軽減③精神的支援、④ケア方法の確認(洗浄方法・薬剤塗布)。⑤弾性ストッキングは心不全の既往があったため受診で相談を提案させていただきました。
結論
難治性潰瘍の援助において、
①食事、②運動、③傷の手入れ、④成果、をアセスメントしケアプランに組み入れることが必要です。また、傷に目が向きがちですが、傷だけを看るのではなく全身を捉えます。
長期にわたり治らない傷がある事実は、精神面に与える影響も大きくなります。生活面でのご苦労や精神的側面を配慮して看護を提供していかねばなりません。
まとめ
ご本人は治るように頑張っているのに、良くならない、改善したように感じられない。
このような難治性潰瘍はケア意欲の維持がけっこう困難です。心が折れてしまわないよう、潰瘍のケア評価や対策と併せて精神的支援をしていきましょう。
また、何ヶ月もの間ナースが「医師が処方した」ことを理由に、ただ漫然と処置を繰り返すのは得策ではありません。悪化しないことが一定の評価になるケースもありますが、潰瘍に関しては治すことを目標としているはずです。
ぜひ、勇気あるナースが増えることを願っています。ちーさん自身も毎日勉強です。一緒に頑張っていきましょう!!!
今日という日がいい1日でありますように!
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