「むくんでて辛そう・・・」マッサージして浮腫が引けば楽になるんじゃないか?そんな風に感じること、ありますよね。実は浮腫は様々な要因から身体に起きる症状の一つです。そのため、安易にマッサージすることはいのつを左右する危険性も伴います。この記事では、浮腫についておさらいしながら浮腫がある時のマッサージについての注意や浮腫がある時の体位についてまとめています。
ぜひ最後までお読みいただき、日々の看護に活かしていただきただけたら嬉しいです
むくみに安易にマッサージは危険!命を左右することも⁉︎
マッサージがダメな時って?
手足は浮腫みやすく、辛そうに感じます。この浮腫が少しでも引けたら楽になるんじゃないか?そんな思いからかもしれませんが、安易にマッサージをするのはリスクが伴います。
最悪、命をも危ぶまれることになりかねません。
特に注意をしたいのが、
✅うっ血生心不全
循環血液量を増やすので心不全の悪化と肺水腫の恐れがあります。
✅炎症所見
最近を体内に広げてしまう可能性があります。
✅新しい静脈血栓
マッサージが、血栓(血の塊)を動かす刺激となり細い血管を詰まらせてしまう危険性があります。
高齢者は一般的に心機能も低下してきていることが多いので、要注意です。また、浮腫の原因には重篤な病気が隠れていることがあります。早めの受診をお勧めします。
むくんでる時の体勢
同じ体勢でいると浮腫みが生じやすいです。
足に浮腫があるときは、足をあげるように言われます。ただ、高く上げ過ぎないよう注意しましょう。
座位の時間が長くなる場合は、❶足の爪先を手前に引いたり遠ざけたり動かす、❷立つ(または寝る)時間を挟む、❸足を台などの上に挙上する
寝る前に仰向けになって手足を天井の方に持ち上げブラブラさせるだけでも効果があります。病的むくみのときは医師に確認してください。
寝る時、浮腫んでいるようであれば足元にタオルなどで高さを作って足を載せて寝るのも決して悪くありません。ただ、たいていの人が朝起きるとタオルはどこかに移動していて、タオルの上に足はありません。そのため、シーツの下に座布団などを入れて足元を広く全体的に高くすると、寝返りを打っても足元の高さが保持されるのでお勧めです。
むくみ(浮腫)について
浮腫(ふしゅ)って?
時々患者さんで「急に足が太った」と言ってくる方がいますが、脂肪が増加した肥満とは異なります。
浮腫は、手足や顔に現れて気づくことが多いです。
水分は重力の関係で下へ落ちます。
浮腫も水なので通常の場合は下肢、特に膝から下の下腿と呼ばれる部分から足先にみられます。寝たきりの方の場合は常に背中側が下になっていますので、頭部や背中、仙骨部、下腿背面に浮腫が見られます。
浮腫の原因
浮腫は、全身性か局所性か、リンパ浮腫か静脈決戦性か低タンパク性かなど分類の仕方がいくつかあります。
浮腫は様々な要因で生じます。特に高齢者は要因が重複していることがよくありますので十分注意しましょう。
病気が原因
- うっ血性心不全、収縮性心膜炎、心タンポナーデなどの心臓病
- 肺高血圧症
- 腎臓病(腎不全、腎炎、ネフローゼ症候群など)
- 肝硬変、蛋白漏出性胃腸症、蛋白尿、栄養障害などによる低アルブミン血症
- 甲状腺機能低下症
- 遺伝性血管性浮腫
- ある種のアレルギー
- 上大静脈症候群
- 慢性静脈不全
- 薬剤性
- リンパ浮腫深部静脈血栓症慢性静脈不全(片側の足にのみ弁不全や不全穿通枝があるもの)
- 熱傷・外傷・蜂窩織炎(ほうかしきえん)などの感染症 など
病気以外が原因
- 長時間同じ姿勢を取ること、特に立位、椅子での座位
- 塩分・水分の摂りすぎ
- お酒の飲みすぎ
- 加齢
- 過労・ストレス など
浮腫の予防・ケア
浮腫は皮膚のバリア機能にも関係しています。
浮腫で皮脂の分泌低下や水分保持能力も低下するため、皮膚は乾燥し、バリア機能は低下。そのうえ、浮腫によって血流障害が生じ、末梢の酸素供給・栄養不足、皮膚温の低下、皮膚の免疫力も低下します。
そのため、小さな傷から細菌感染を起こすリスクが高くなるのです。したがって、バリア機能の低下を最小限にするために、皮膚の「清潔」「保湿」「損傷の予防」はとても重要です。
また保湿する時には、心不全の悪化リスクを忘れることなく軽いタッチで塗布することを意識しなくてはなりません。
浮腫によって歩行バランスが大きく崩れやすく転倒のリスクが高まりますので、環境調整やセルフケアの教育が必要になります。着圧靴下などは治療の一環になりますので、医師に着用に関して相談してから使用しましょう。
高齢者
ご高齢になると、ADLの低下や柔軟性の低下、視力の低下、爪の肥厚や変形によって、自分で足の爪切りができない方の割合が高くなります。
活動量や食事量も若い方に比べると少なく、同一体位で長時間過ごすことが珍しくありません。
施設やデイサービスなどで入浴後、保湿クリームを塗布する際に浮腫に気づきマッサージで浮腫をとってあげたい気持ちになる方もいることでしょう。
しかし、その浮腫は何による浮腫なのでしょう?ずっと座っていたことだけが原因でしょうか?
マッサージで心負荷が増したとき、耐えられる心臓なのでしょうか。
もし、明確に大丈夫と言える根拠がなかったら、そっとさするように塗布剤を塗布しましょう。横になっていただいたり足を動かしたり、軽く挙上するなど他の対策も検討してみませんか?
結論
足(手)に浮腫があっても安易にはマッサージをしてはいけません。
心機能、炎症の有無、新しい血栓など確認が必要になりますので医師への確認が必要になります。
辛そうに見えるからと言って、浮腫が消えるようなマッサージを安易にしてはならないのです。
まとめ
きちんとした知識をもってケアに携わらないと、思いやりが仇になってしまうことがあります。むくんでいる方の辛さが軽減できるように、また悪化しないようにするためにも、目の前の状態だけでなく全身状態、これまでの経過、未来にも目を向けていきましょう。
爪切りや角質ケアの依頼であっても同様です。爪だけ、足だけでなく全身を捉え、人を看ていくのがフットケアです。
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今日という日がいい1日でありますように!
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