こんにちは!現役専門看護師ちーさんです。
患者さんに確認したのに蓋を開けてみたら想定外の状況だった。なんて経験ありませんか?もしかしたら、それぞれにとっての「普通」「当たり前」がズレていたのかも知れません。言葉って曖昧なので、それぞれが思うように自由に解釈してしまうものです。今回は、フットケアにおいて基礎中の基礎「保清」の概念『洗う』についていっしょに学んでいきたいともいます。ぜひ最後までお読みいただいて、看護や実生活に活かしていただけたら嬉しいです。
「足、洗ってる?」この判断基準、実はみんな違う
看護外来などで、フットケアを提供し活躍しているナースも増えて嬉しい限りです。患者さんの足を見て「足をちゃんと洗ってますか」「毎日洗ってますか」と問うことありませんか?
そりゃ、聞きますとも。聞かなきゃ、わからないじゃないですか。
そうですよね。
ポイントは『どう質問するか』なんです。
そのまま、「足洗ってますか?」って聞くけど・・・。
違う聞き方しないといけないのですか???
『足をちゃんと洗っていますか?』という質問だと、
だいたいの方が「洗ってるよ〜」
そうお答えになります。しかし、拝見すると答えとズレているように感じることも実は少なくありません。これは、患者さんがウソをついているのではなく、患者さんとしては洗っている認識なのですね。
実際、ちーさんはこれまでにいろいろな「洗う」があることを教えてもらいました。
「洗い方」は習慣なので、皆さんそれぞれの信じて疑わない「洗い方」があるのです。
医療や福祉に携わっている方々が、それぞれの「当たり前」が違うことを念頭に置いてケアに携わることで、自然と言葉や向き合いかたが変わり患者さん(利用者さん)が教えてくれる内容も情報量も大きく変わります。
たとえ、「足を洗っているか?」ひとつとってもです。
ありのままを話してもらえるように
1人ひとりがそれぞれが思う「当たり前」「普通」は、実はみな違っています。しかし、ちーさん含め本人は自分の「当たり前」「普通」を前提で話すのです。
では、どうしたら私たち医療従事者がどう行動をしているかを確認できるのでしょうか。
私たちは、患者さんに話してもらい教えてもらうことででしか確認できないのです。
具体的に教えてもらう質問は例えば
ーいつもどんな風に足を洗ってるか教えてもらえますか?(実際にやってもらったり)
ーどんなものを使って洗ってます?石鹸や軽石とか使いますか?
ー毎日からだを洗うのは面倒に感じませんか?
みたいに雑談のような雰囲気で、患者さん(利用者さん)にとっての位置づけや普通を話してもらえるように質問を工夫することが重要です。いわゆるオープンクエスチョンを基本に具体的にイメージが映像化できるように埋めていくつもりでお聞きできるといいかも知れません。
また、
NS:「きれいに洗ってください」⇨ きれいになってない ⇨ セルフケア能力がない
と安易に決めつけないことも大切です。
できない要因は、大きく分けて伝わったか伝わらないか。伝わっていてできないのならなぜだろう。この順番です。自分はわかるように伝えたつもりでも伝わってないこともあります。
ここで言うと「きれいに」が具体的にどう言う状態か伝わる表現になっていないからかもしれません。
互いの概念を丁寧に確認すること。そのためには、ありのままを教えてもらえるように「どう問いかけるか」考えなくてはなりません。
例に挙げた問いかけは、できていたら褒め、できていなくても普通に返すことができるようなものです。患者さんも「できていない」と感じ恐縮したりしなくて済み、答えやすいように私がよく活用する質問形式です。
洗い方
様々な洗い方
実際、こんな方々がいらっしゃいました
・週1回くらい。足なんかその位で十分だろ(週一でも洗えば頻度は関係ない)
・毎日クリーム塗ってるからそれで綺麗でしょう(保湿=綺麗=保清)
・足の甲を洗えば、足底や趾間は擦る必要はない(足底や趾間を洗う認識がない)
・タワシでゴシゴシ洗う(強く擦る=綺麗に洗う)
手やタオルで優しく
では、本来どう足を洗うのが良いのでしょう。
ボディソープや石鹸には様々な種類があります。保湿効果が高いもの、白癬菌対策に優れているものなど目的や期待する成果にあったものを選べるとより良いですね。
1)ボディソープも石鹸も泡だてて使います。洗顔や褥瘡処置ではよく言われますが、汚れを落とすのは泡!部位に関わらず泡で洗うことが大切なのです。
2)足の甲、足の裏、かかと 、足趾一本一本、趾の間、爪先、爪の周りを指の腹や柔らかい布で優しく擦って洗います。足用ブラシも販売されていますが、注意事項をよく読んで、用途や健康状態に応じて使い分けられると良いですね。糖尿病などある方はかかりつけ医に相談すると良いアドバイスがもらえるかも知れません。
3)洗浄剤を落として、清潔なタオルで趾の間まで丁寧に水分を拭き取ります。この時皮膚を擦らずに押し拭きすると皮膚の負担が少なくすみます。
4)皮膚が乾燥傾向だったり、ガサガサしていたら、最後に保湿して終了。
結論
一言で「足を洗う」と言っても、その言葉をどう解釈するかはそれぞれの習慣や価値観に基づいています。そのため、その方のやり方やその背景、行動をどう位置づけているのか、こだわりなどを会話の中で教えてもらうことが看護支援の大きな第一歩です。
私たちが私たちの言葉で伝えるだけでなく、コミュニケーション力、質問力を駆使し患者さん(利用者さん)の言葉、生活を理解して、その状況にあった援助を届けることが求められています。これを行えるかどうかが看護の成果を左右します。
1人ひとりちがう患者さん(利用者さん)にどう伝えることが、よりわかりやすく、健康に良い行動につなげられ、自尊心を配慮した関わりになるのかアセスメントし計画することが重要です。
まとめ
毎日、タスクに追われてんやわんや💦
その中で看護師仲間がそれぞれの地で頑張ってます。なかには、記事を読んで意味は分かるけど時間がないからできないと感じる人もいるかも知れません。そう思うくらい忙しいのだと思います。
ただ、少しだけ長い目で考えてみましょう。
①患者さんのお話を聞いて、看護師がピタッと合致した支援ができた時
②看護師が一般論をお伝えして、患者さんは自分なりの捉え方と行動をした時
もし、ハイリスクな足の方だったら、今後どちらの方が有益で合併症予防につながりますか?将来的にどちらが健康的に過ごす確率が高くなるでしょう?
少しだけでもいい、患者さんの未来につながる時間を今いっしょに作りたい。そう考えながらケアに携わっています。
*看護における患者さんのゴール設定の考え方、療養の編み直し、コミュニケーションのポイントなどスペシャリストコースではみっちりと学べるよう整えています。
今日という日がいい1日でありますように!
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