食事療法は栄養士さん、お願い!と、食事療法って取り組むご本人も大変ですが、ナースにとっても何を伝えたらいいかわからない💦そう感じている方もいるかもしれません。特に「足」と関連の強い糖尿病を抱えた方の退院支援は重要です。じつは、昨年に続きプチナース(照林社)の執筆機会をいただきました。2021年9月の特集『退院支援特集』が好評で、第2段です!今回、ちーさんが担当するのは糖尿病患者さんの退院支援で、食事療法をテーマにします。
そこで、この記事では糖尿病患者さんの食事療法のポイントの一部を先取りしてまとめています。
ベテランの方は復習として、知らなかった方はプチ情報として。フットケアにおいても要になる食事療法について、ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。
退院支援は外食や惣菜、コンビニの利用を想定!糖尿病の食事療法は3つのポイントで平均70点を目指そう
教科書的な『理想』ばかり並べても、患者さんは生活に落とし込むことはできません。
そこで・・・
活用術としてポイントをご紹介して0か100点に偏らずに平均70点を目指すことで、継続しやすく自分なりの方法を見つけ出すことにもなりやすいのです。
また、この活用術は糖尿病の方だけでなく、健康でいたい方、健康的に食事を摂りたいすべての方、に有効なのでめちゃめちゃお勧めです。
その1外食時
可能ならば1品料理が多いお店、丼系、うどん・そば系よりも
1品料理だと早食いになるため食べ過ぎを招きやすいです。
結果的に糖質を多く取り過ぎ、栄養素の偏りを防ぐためにも定食のように品数がありバランスが取れ、ご飯の量を目で確かめ調整できる定食メニューが良いでしょう🍚
そして、残す勇気をもつこと
その2惣菜購入時
忙しい時、疲れて何もしたくない時、スーパーの惣菜は便利ですね。スーパー惣菜の特徴は揚げ物が多いこと、沢山購入すると割安になっている商品構成が多いことです。
注意するポイントは
・煮物・炒め物を意識して選ぶ
・カット野菜の利用
「沢山入っているものを安く購入して、明日も食べよう!」
そう思って購入したはずが、その日のうちに全部食べちゃった😅ってことは、よくあること。目の前にあれば制御するのは難しいもの。もう少しだけ、もう一個だけ・・・ってね。
なので、そもそも量が多いものは購入しないでその日の分だけ購入ことが重要です。お菓子も購入しないのが一番です。なんとなく損をしたような気持ちになる方がいらた、『健康と引き換えにするほどの価値があるものですか?』と優しく質問してみましょう。
また、惣菜とご飯だけになりやすいため、野菜と調理されている惣菜を選ぶかカット野菜を一袋一緒に購入するだけで満腹感も味わえて栄養バランスが大きく改善します。
その3コンビニ活用時
職場や出先で食事を摂るケースかと思います。
コンビニと言えば、おにぎりやパン、サンドイッチ。中には時間がなくて手に取れるものを運転しながら食べる方もいるかもしれません。
ここで、注意です❗️
菓子パンは主食としてみなされません。間食に分類されますのでできるだけ他のものを選ぶよう声をかけて意識していただけたらと思います。
さらに、おにぎりかサンドイッチどちらか、というような場合はサンドイッチをお勧めします。
糖尿病の食事療法を平均70点でヨシとする理由
患者さんの血糖コントロールを改善するためには、教科書通りにしてもらえば血糖値が下がることでしょう。
しかし、社会生活を営みながら終わりのない療養に取り組むのは簡単なことでなありません。
特に、初めて診断されたばかりで退院支援を受けたとしたら・・・?
中には
ー楽しみを奪われた
ー生きがいがなくなった
ー自分には食べられるものがない
そう感じて糖尿病の診断自体を受容しにくくなるケースもあります。
また、教科書的な100点でなくてはいけないと思わせてしまうことで、
ー難しい
ー自分はできない、落ちこぼれ
ー聞いたってどうせできない
ー食事が楽しくない
と何もしないうちから失敗体験を連想させてマイナス因子に働き、療養意欲まで低下させる危険性があります。(気質やこれまでの体験、伝え方なども関係するため、あくまでも危険性です。)
糖尿病患者さんへの退院支援においては、目指す食事療法の形を示しつつその方のライフスタイルでどんな工夫ができるかを一緒に考えたり、提案することが重要になってきます。
糖尿病があってもなくても社会生活を送っていれば、様々な出来事に遭遇します。毎日同じではありませんよね。
頑張って取り組める日もあればそうでない日もあるでしょう。
100点を目指さなくていいとは言っていません。ただ、食事療法が100点じゃなくてもいいのです。
正しい情報と目指すべきところを認識しつつ、自分もこんなふうに工夫すれば「今までと変わらない生活」を送れそうだというイメージを持てることが自己効力感の向上に繋がります。コレが重要です。
病気だからやって当たり前、病気だからできて当たり前ではないことを、退院支援に携わる方は忘れてはいけません。一緒に取り組む気持ちで考えましょう。
また、自己効力感はすべての人にとってとても大きなものです。詳しくはこちらを👇どうぞ
食べていけないものはありません
50代後半の男性A氏 遠距離運転手
初めて2型糖尿病と診断。基幹病院で糖尿病教育入院をして、糖尿病教室にもしっかりと通っていました。
退院指導などがひと通り受け終わった後のことです。
A氏: 家に帰ってから何食べていいかわかんないよ。どうしよう😓
ちー:何食べてもいいんですよ。ただ、タイミングと量、バランスを気をつけることが大事!!!
A氏:え⁉︎いいの。揚げ物とかお酒とかダメかと思ったよ
ちー:好きなだけ沢山食べちゃうと後が大変ですね。揚げ物は油が多いから一度血糖値が上がると、油の特性上なかなか下がりにくいんです。なので、どうしても食べたい時は少なめで食べて味わっていいとお伝えしています。Aさんも例外じゃないですよ。お酒は、血糖コントロールがつくと医師から許可があれば楽しむ程度で飲めますよ。先生からOKもらいたいですね。今はまだ飲めませんがコントロール次第。
A氏:そうなんだ〜。そう言ってもらえるだけですごく楽になったよ。
ちー:食べちゃダメ・飲んじゃダメと思うとかえって欲求が高まるものです。一緒に頑張っていきましょう。
ちーさん、そんなこと言っちゃって大丈夫⁉︎
大丈夫です🍀ご心配ありがとうございます!当時の主治医とともにチームとしてこうお伝えしていました。
人間は望まない規定を一方的に作られると反発したくなるもの。療養において食べ過ぎ、暴飲暴食、自暴自棄・・・などのマイナス行動の引き金とならないような配慮と準備が必要です。
自己効力感を高めて、前に進めるように手助けしたい!そんな時は、以前にもご紹介した「自己効力感を高める支援」を意識することをお勧めします。
熱量だけでなく、限られた時間の中で効率的にいい支援ができるようにまだ読んでない方はぜひお勧めです❤️
退院支援は外食や惣菜、コンビニの利用を想定!糖尿病の食事療法はポイントを抑えて平均70点を目指す
退院支援は外食や惣菜、コンビニを利用することも念頭に置いて、そう言った場面でもBetterな選択ができるように情報提供すること、考え方を手に入れてもらうことが重要です。
🍱1品料理の店よりも定食セットがある店を選ぶ
🍱惣菜は、その日食べる分だけ購入する
🍱揚げ物より煮物や炒め物
🍱カット野菜の利用
🍱おにぎりとサンドイッチ、どちらか一品だったらサンドイッチ
100点に近づけばもちろん身体的には良いかもしれません。ただ、心や気持ちが満たされない状況になってしまうバランスは目的達成とは言えません。
最後に、もっとも大切な心理トラップ
「食べちゃいけない」から「量を減らしてバランスを改善」に変換が重要です
心と体
どちらか一方ではなく、それぞれが「まずまず」なBetterな状態、Happyと患者や家族が感じられる生活を送れるように、私たち支援者は包括的にとらえた支援が求められています。
まとめ
ちーさんは子供の頃、テスト前になると無性に掃除がしたくなって片付けをしはじめることがありました。
勉強すればいい点数がとれることをわかっていてもできないんです。親から指示されると反発して、わざと逆のことをしてみたり、苦笑。
病気を抱えているからといって、そもそもの心理的反応は大きくは変わるわけではありません。
それぞれの考え、経験、知識、プライド。
その背景もふくめて丸っと受け止めていきたいものです。
では、プチナースの出版楽しみにしていてください。2022年7月特別号(6月販売)です😆!
プチナースに書ききらなかったことをこちらにまとめました!好評ですので併せて療養支援に活かしていただけたら嬉しいです
今日という日がいい1日でありますように!
コメント